『仮面舞踏会』 by 横溝正史 : 全く猟奇的ではない正統派推理小説の大長編。登場人物がこれでもか、と出まくりこれは記憶力への挑戦か?
個人的な作品評価
項目 | 星評価 | コメント |
---|---|---|
猟奇度 | ★☆☆☆☆ | 全然猟奇性が無いです。この項目を創りだしたことをちょっと後悔… |
謎難度 | ★★★★★ | 全ての事件の犯人を見出すことは難しい。金田一耕助も自信がなかった推理。 |
操婦人が凄すぎ度 | ★★★★★★ | 今までに無いキャラクター、推理小説マニアの登場です。 |
かなり長編で、登場人物も多いので読むのに覚悟が必要。没落華族は出てくるんだけど、猟奇的なシーンは全くない。一番おどろおどろしいのは表紙。じっくり時間がある人にオススメです。
登場人物
Wikipedaに書いてあるんで、割愛。
本(Kindle版)にもついていたので存分に利用しましょう…。 正直、把握がすごく大変なんで、こういう時は紙の本がいいなあ、としみじみ思います。
- 作者: 横溝正史
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 1986/09
- メディア: 文庫
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以下、ネタバレをある程度抑えた感想。
感想
「過去四人の男と結婚して別れている銀幕の大スター。最初の夫は変死を遂げ、二人目の夫も交通事故で死亡、そして目下五人目の男と恋愛中!」とか読むとこれからこいつも死ぬのか、どのような陰惨な死に方を…とか思うんだけど、これが全く全然違う。三番目の夫である槙恭吾こそは幕開けとして殺されているが、それからはひたすら場所を移動しながらの推理、調査。いろんな人物が登場するが、今ひとつパッとせずストーリーは続く。
謎解きは極めて難しく、真犯人への到達は困難だと思うが、まずは笛小路泰久の遺体に性交の形跡があったこと、から考えていくのが良いように思う。登場する女性はそれほど多くないので。如何にも思わせぶりなマッチ棒パズルは期待はずれ。かなり残念。
正直言って、登場人物がやたら多く、それぞれ特に色があるわけではなく。それでもそれぞれに背景説明が必要なわけで、話はかなり冗長に進んでいく。一番残念なところが中心人物の一人である鳳千代子が全く魅力的に書かれていないこと。5回目の結婚をしよう、という人なので、本来とても魅力ある人物であるべきだが。
真犯人との対決、そして最後の盛り上がりは緊張感があり、引き込まれる。そして分かる、題名の意味。それを味わうために、一生懸命読みましょう。
一行『仮面舞踏会』
色盲と「A+Q≠B+P」から真実に気がつく話。