『メビウスの殺人』 by 我孫子 武丸 : 最後にタイトルを見てなるほど、と思う。
こんな人にオススメ
- 前作『0の殺人』を読んでいい!と思った人
- 多少の不自然さに目くじらを立てない人
- 軽くさらっと読める本が好きな人
- 作者: 我孫子武丸
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 1993/05
- メディア: 文庫
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事件の真相にたどり着きたい!でも今の予想があっているか、よく分かんない!という方は、タイトルが自分の推理にあっているか?を考えましょう。真相はかなり奥の奥にあるので、そうしないとまずそこまで辿りつけないかと。
以下、ネタバレ思いっきりありで感想をば。
感想
複数の謎が出てくるし、特に伏線など、ないので気がつくのは結構難しいと思われる。謎解きが簡単な順にこんな感じ。
謎:連続殺人の被害者はどのようにして選ばれたのか?→ 答:しりとり
これについては、途中で気がつく人も多いかも。被害者について情報がそれほど提供されないこともあるし。しかし、これだけだけだと、え?という気がしないでもない。謎:置かれているメモの意味は? → 答:三目並べ
メモが何を意味しているか?は、僕は不思議なことに比較的早い段階、2人めか3人めから、ピンと来て分かったんだけど、なんで必要なのか?っていうのは全く分かっていなかった。三目並べ自体がゲームの目的、だとおかしいんだよね。最善手を打てばアイコになることは有名なのでゲームにならない。しかし、この犯人はそれを逆手に取って、便乗犯とか、別の殺人と混乱しないようにする目印として使っているのだ。ただ、殺人事件が起きた時、現場のメモ書きってそんなに話題になるだろうか?という疑問は残る。謎:連続殺人の動機は? → 答:ゲームとして。
この辺りから難しくなってくる。連続殺人は単なるゲーム。しりとりで繋がる相手を殺せるか?という殺人ゲームだった、ということ。だから、ミッシングリンクは単純だし、三目並べにも意味がある。少なくとも、表面上は…。謎:犯人は誰? → 答:二重人格
最大の謎はこれ。このことに気がつくことが出来るか?というのがポイント。最初の犯人の登場から、「(1人による)連続殺人かあ」とまず思って、そののち、2つ目が発生した時に「ゲームってことは、2人で交互に殺しているんじゃね?」と気がつく。で、それが当たりなんで、もうその後は、その2人がやっぱり1人だ、なんて疑わないわけだ。よく出来ています。
ただ、もう少し伏線があった方がいいような。ヒントはタイトルのみ?
アンフェアなのか、フェアなのか
感想で、アンフェアだ、と書かれていたり、メモは要らないんじゃない?とか書かれていたりするけれど、ゲームの為に、メモは必要。ちょっとご都合主義的なところも多くて不自然だけど、アンフェア、とまでは思わない。なぜなら最大のヒントはタイトルで示されているんだから。