『ROMMY 越境者の夢』 by 歌野晶午
あらすじ
成功への階段を駆け上り、人気絶頂の歌手ROMMY。イギリスのトップ・アーティスト、フランク・マーティンを迎えてレコーディングを行うことになった。しかしその直前に仮眠室で死体で見つかった!今更レコーディングを中止にする訳にはいかない関係者達は必死にROMMYの死を隠そうと奔走する。そうこうしているうちに彼女の屍体はバラバラに解体され、胴体が持ち去られてしまう!一体誰が、何のために?
解くべき最大の謎
なぜ胴体は持ちさられたのか?
感想
よく練りこまれている、と唸らされた。この小説は通常のミステリとは全く主眼が異なるため、発生した事件に対して、誰が殺したか?なぜ殺したか?などを考えることは、全く重要ではない。ポイントは中村の行動の意味することは、ということだ。真実がわかった時に、今まで不自然に感じられた様々の事実、行動がほどけていく様はとても良く出来ていて、一読の価値がある。
- 作者: 歌野晶午
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2011/01/14
- メディア: 文庫
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以下、スーパーネタバレ。これは本気で。本書に加えて他のミステリ、『螢』や『ハサミ男』についても触れるので、そっちを読んだことない人は、この先に進んではダメです。
たまたま、同じようなトリック、すなわち男と思われた人が女性、またはその逆を使った作品を3冊最近読んだので、比較してみたいと思う。多分に個人的な基準あり。ROMMYは正確には叙述じゃないと思うけどね。
項目 | ROMMY | ハサミ男 | 螢 |
---|---|---|---|
作者 | 歌野晶午 | 殊能将之 | 麻耶 雄嵩 |
出版年 | 1995年7月 | 1999年8月 | 2004年8月 |
受賞 | 第13回メフィスト賞 このミステリーがすごい! 1999年 第9位 |
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主な伏線 | サブタイトル 最初の手紙 |
周りの態度 トイレでの挙動 |
周りの態度 |
重要度 | ○ 関係者の行動の謎がとける |
△ 犯人候補と別人と分かる |
○ 犯人推理の鍵 |
読みやすさ | ○ | ○ | △ 視点が曖昧 |
言いたいことは何かって言うと、他の作品、特に『ハサミ男』に比べて『ROMMY』の評価が低すぎるんじゃないのかってこと。時期として一番早く書かれ、その謎が分かった時の、なるほど感が最も高く、文章も読みやすいのに特に何も受賞をしなかった。そして歌野晶午は葉桜まで評価されなかった。うーん。
肝心な事件のほうの謎が少ないから?確かにそうだ、いや、でもそっちは本題じゃないから。
途中の挿絵が酷いから?まさしく。ただ、売れていなかったんだからしょうがない。
うーん、不思議なんだよなあ。読んだ順なのかな?