ハサミ男 by 殊能将之 : 読みやすく内容も損はしないミステリの佳作、でも不満はあります
作品の特徴上、語るのはどうしてもネタバレを含んじゃいます。 でも、有名な作品なのでみんな知っているかな?
いわゆる一つの叙述系。作者は半数以上の読者は気がつくのでは?と語っており、読んだ人で同意している人も多いのだけど、僕は全く分からなかった。鈍いんだろうか?世の中の人が途中で分かった、というのは恐らく二種類あって
- 樽宮由紀子殺しの犯人が分かった
- ハサミ男が女性だと分かった
の2つのどちらか、もしくは両方だと思う。前者は、推理というよりも、登場人物の造形から、なんとなく分かった人もいるだろうな、とは理解。ただ後者はどうなんだろう?店員の態度とか上司の台詞で分かったっていう人がいるけど、全くピンとこない。男女でそんなにも人の態度は違うんだろうか?この本が書かれたのが1990年代だってことを加味する必要があるのかも。その頃はまだ男女の違いが今よりも明確で、オシャレをする男なんていなかったし、ネットもなくて町の店員の態度はそれはもうひどい場合があった。なので、ピンとくる人は古い時代を生きているんだなあ、ということを言い訳にして寝る。もう一回読めば、イメージ変わるのかもしれないんだけど。
ハサミ男が自分のことをデブだって認識している、という設定がアンフェア。コンプレックスがある割にはミートパイを食べてるし!
医者の存在とか、被害者の性格とか、今ひとつ何かありそうで、結局無さそうで終わったのが残念。そっちにばかり気が取られていたんだけど、不完全燃焼。叙述に気を取られすぎた?
- 作者: 殊能将之
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2002/08/09
- メディア: 文庫
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