たたたた。

あんまりじろじろ読んじゃ嫌。

『知的な距離感』 by 前田知洋 : マジシャンの本なのにマジックについて全く書いていないなんて

著者は有名なクローズアップ・マジシャンなんだけど、この本には全くマジックについて書いていない。人との距離感について、著者の経験から導かれたことや、歴史、心理学から導かれたことが書かれている。

プライベート・エリアはひとによって違うとか、暗いと距離感が近くなる、とか、それなりに有名な事実が書かれていて、知っているよん、とか思う人も多いかもしれないけれど、網羅的に書いてあるのは便利っちゃ便利で、頭の整理になるし、中にはあ、なるほど、と思ったこともあった。以下がその一部。

マジックより先に見せるもの

初対面の人に少しでも信頼されたいのであれば、普段から身の回りの人と信頼関係を築くことです。そうすることにより、周囲の人との信頼関係の距離感を人に見せることが出来ます。

これはマジックだけに限らないこと。マザーテレサ"I want you to be concerned about your next door neighbor. Do you know your next door neighbor?(まずは隣人のことを思いやって下さい)"って言っていることに通じる。

身近な人に信頼されない人が、多くの人に信頼されるわけはなく、身近な人に優しくできない人が多くの人に優しく出来るわけはない。日常こそが勝負。

二種類のドアの開け方

プライベートエリアの内側を通す相手は、あなたのゲスト、家族、高齢者、子供などで、外側を通したほうがいいのは、若い異性や同世代の同性などです。

これは全く意識したことなかった。

イスから立ち上がる効果

新たにテーブルに着く人のために、全員が話を中断して立ち上がれば、誰しもがスムーズに挨拶することができ、新しい会話をはじめることもできます。

あるある。着席のパーティもそうだけど、立食パーティーでも同じかと。既に輪が出来ているところには、いかにも入りにくい。そういう時に、うまく紹介してくれる人って素晴らしい。周りに目が行き届く、そういう振る舞いが出来る人になりたい。

マナーって、しょうもない形だけじゃないの?って思うこともあるけど、色んな人生の知恵が入っていることが多い。マナー講師には、そういう何故そういうマナーがあるのか?ということ込みで、チャンと教えて欲しいなあ。

赤いカードの予言

マジシャンは自分と観客の境界線がどこにあるのかを示すために、その境界線上に何気なくトランプの空き箱を置いておきます。

これもマジックによらず応用可能かと。心理的バリアの上手い貼り方。ま、心理的な物なので、それほど効果がない場合も多いけど、やらないよりマシ。

一つでも、なるほど!と思った人は是非読んだほうがいいですよ。こういう話がこの本には山ほど詰まっています。

知的な距離感

知的な距離感