たたたた。

あんまりじろじろ読んじゃ嫌。

『折れた竜骨』 by 米澤 穂信 : ミステリーとファンタジーの融合、70点+70点の評価は70点なのか、140点なのか

こういう人にオススメ

  • ファンタジーの世界に抵抗がない人、下地ができている人

ファンタジーに全く興味ない人には、それはそれは結構つらい小説なんじゃないかと想像。

ファンタジーの世界は魔法があったり、亜人がいたり、現実世界とはなにかと違って理解が難しい。でもそこには、そこはかとないお約束がある。魔法だって、なんでもありじゃないし、定番がある。亜人にだって典型例がある。

ファンタジー小説っていうのは、それを序盤で説明する必要があるから、どうしても序盤がつまらなかったりする。指輪物語もそうだし。で、その結果どうしても長くなって、大長編になりがち。

この小説も前半を説明に費やしてしまっているので、その部分が冗長だ、と評価する人も多い。ファンタジーに造詣のある人には冗長に感じやすいし、そうでない人にもつらくてつらくて。

その点、やっぱりハリーポッターは良く出来ているんだなあ。一巻目で本来行うべきそういう舞台説明が、その説明自体面白く書かれていた。方法はファンタジー世界をあまり知らない主人公に、世界を紹介がてら説明する、という本小説と全く同じ手法なのに。

評価が二分される、その理由

ファンタジーとミステリー、条理と不条理というまさに水と油の融合をこの小説は目指した。とても挑戦的だ。この2つのジャンルはそれぞれに熱狂的で、うんちくをすぐ垂れるやっかいなファンを持っていることもある。

この難しさに加えて、この作品はミステリーと冒険活劇、つまり「走狗(ミニオン)」の捜索と、「呪われたデーン人」との戦いという2つのテーマを書いてもいる。この構成自体もファンタジーではよく見られる構図だ。華やかな戦いと、鬱々とした内面の闘い。指輪物語もなさにそうだし。

しかし、ここでやるのはこれまた大変すぎ。ファンタジーに馴染みがない人はついてこられるのだろうか?と思うのは本当にこの点。

しかし、犯人の正体と言い、最後の犯人を示すところと言い、消化しきれば満足感は高い。なるほど、様々な賞を受賞したのも納得。