たたたた。

あんまりじろじろ読んじゃ嫌。

『麻雀ブルース』 by 田村光昭 : 劣化版麻雀放浪記?

阿佐田哲也が書評を書いている

これはいわゆる麻雀小説ではない。主人公は作者と等身大の麻雀ヒッピーではあるが、70年安保闘争などで挫折を味わった若者の乾いた心根が全編に透かし見えており、その意味で一時代を画す秀抜な風俗読み物たり得ている。

うーん、よく分からない。

文体はなんとなく、阿佐田哲也を彷彿とさせる。ひょっとしたらかなり阿佐田哲也が協力したのかもしれない。同じく麻雀新撰組のミスター麻雀小島武夫も阿佐田先生には文章の書き方を教わった、と言っていたし。

ただ、言えることはこの小説では麻雀の醍醐味がよく分からない。麻雀放浪記から、麻雀の闘牌の醍醐味と、こくのある人物の魅力を抜いた感じだ。これが阿佐田哲也のいう、「麻雀小説ではない」という部分だろうか?青春小説としても、青春編の方が味わいがあるし…。

この差はおそらく脚色と時代から生まれたのではないだろうか?麻雀放浪記にはかなりの部分、脚色がある。登場人物はモデルがいる、とされているが、様々なモデルのエピソードが寄せ集められており、その分、人物も小説も非常に濃いものとなっている。また、阿佐田哲也が戦後の混乱期だ。それに比して田村光昭の小説は起きたことそのままがほぼ書かれているのではないか。それ故にどうしても、エピソード、闘牌が単発になってしまう。

ちなみに、闘牌って作るのがかなり難しい部分だ。麻雀小説、漫画は数あれど、名作足りえるのは、闘牌がしっかりしているから。麻雀漫画の第一人者と言って差し支えない片山まさゆきだって、馬場裕一が闘牌協力として参加*1した『ノーマーク爆牌党』の評価が最も高いし、萌え漫画である『咲-Saki-』だって闘牌部分は高く評価されている。

『麻雀ブルース』の良い点をあげると、各地の珍しい麻雀ルールが紹介されていることと、やっぱりこの時代の麻雀小説は珍しいので雰囲気が味わえることだろうか?しかし、このルール説明もあっさり。ある程度、トリウチとか、アリスを知らないと理解が厳しいのでは…。まあ、今はネットがあるから調べるには困らないだろうけど。

という訳で、絶版になっているこの小説ですが、麻雀小説を読みきった人以外、読む必要はないかと。もう読み切ったよ!という人は、網羅性という意味でどうぞ。

読むならこちらがオススメ。

漫画ならこっち。